樹脂成形(射出成形)の現場において、金型から成形品を取り出す「取出工程」は、生産効率と品質を左右する重要なプロセスです。かつては人が手作業で行うこともありましたが、現在では産業用ロボットの導入による自動化が主流となっています。
この記事では、樹脂成形の取出工程を自動化するメリットや、実際の現場でどのようにロボットが活用されているのか、具体的な導入事例を交えて徹底的に解説します。自社工場の自動化を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
樹脂成形における取出工程とは、射出成形機内で溶かしたプラスチック材料が金型内で冷却・固化された後、その成形品を金型から取り出す作業のことです。取り出した製品は、その後ゲートカット(不要な樹脂部分の切断)や検査、箱詰めなどの次工程へと運ばれます。
この工程を人の手で行う場合、高温の金型に近づく危険性があるだけでなく、作業のスピードにばらつきが生じ、金型温度が変化して成形品の品質に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、多くの製造現場で取出ロボット(トラバースロボットや多関節ロボットなど)の導入が進んでいます。
手作業による取り出しと比較して、取出ロボットは一定のスピードで正確に作業を繰り返すことができます。これにより成形サイクルのタイムロスがなくなり、タクトタイム(1個の製品を製造するのにかかる時間)の大幅な短縮が可能です。ロボットは24時間稼働も可能なため、工場全体の生産能力を飛躍的に向上させることができます。
取出工程で人が製品に触れると、手の油分が付着したり、取り出す力の加減で製品に傷がついたりするリスクがあります。専用のチャック(ハンド)を取り付けたロボットであれば、製品に最適な力で安全に把持して取り出すため、傷や変形を防ぐことができます。また、取出時間が一定になることで金型温度が安定し、成形不良の発生率を下げる効果も期待できます。
射出成形機の周辺は高温になりやすく、また金型に挟まれるなどの労働災害リスクが伴います。これらの危険な作業をロボットに代替させることで、従業員の安全を確保できます。さらに、単純な取出作業から人員を解放し、検査や設備の保守など、より付加価値の高い業務へ人材を再配置できるため、深刻化する人手不足の解消にもつながります。

射出成形機からの取り出しだけでなく、その後に発生するゲートカット(不要な樹脂部分の切断)作業までを無人化した事例です。取出ロボットが金型から取り出した成形品を、横に設置した専用の自動ゲートカット装置へと直接受け渡すシステムを構築。手作業でニッパーを使ってカットする手間を省き、作業者の負担を大幅に軽減するとともに、カット精度のバラつきや製品への傷つきを防いで品質を安定させています。

従来は射出成形機1台につき作業者が1名付きっきりで取り出し作業を行っていましたが、垂直多関節ロボットを導入した事例です。ロボットが成形機からワーク(製品)を取り出すだけでなく、ワークに残った不要な樹脂(ランナー)を専用機器に押し当てて切断したり、冷却水に浸したりといった複数の後工程までを一貫して自動化。省人化を進め、生産性を大幅に引き上げることに成功しています。
樹脂成形における取出工程の自動化は、生産効率の向上、品質の安定、および安全な職場環境の確保において有益な選択肢です。トラバースロボットから多関節ロボットまで、取り扱う製品のサイズや次工程の有無によって最適な設備は異なります。
自社の生産ラインに最も適したロボットシステムを構築するためには、現場の課題を的確に把握し、設計から導入までを一貫してサポートできる専門企業(SIer)に相談することが、投資対効果を最大化する近道となります。
今自動化したい工程には、その工程ならではの課題があるはずです。だからこそ、各工程の悩みに応じた実績やノウハウを持つ企業に相談することが、現場の負担を減らし、効率的に稼働できる自動化への近道になります。
当サイトでは、構想段階で不安の多い工程でも、自社の状況に置き換えやすい事例を提示できる、工程ごとの強みと対応力を持つ3社をピックアップしています。ぜひ参考にしてみてください。
工場ラインの自動化では、工程ごとに「属人化」「スペース制約」「精度の安定」など異なる悩みがあります。設計・提案だけでなく、現場ヒアリングから設置・保全・アップデートまで一貫対応する企業こそ、課題を根本から解決できます。
ここでは、そうした対応力を備えた東海エリアの3社を工程別にピックアップしています。
不良品の検出には、工程ごとの流し方・止め方・向きといった動きの把握が不可欠。サカエは、検査を含む多様な工程で150社・1500台超※の自動化設備導入を支援してきた知見から、成立条件を踏まえた提案が可能です。
特定メーカーに縛られない提案型商社として、機器やソフトを柔軟に組み合わせ、属人化しがちな検査工程も、再現性ある仕組みとして構想・テスト・設置まで一貫対応します。
スペース制約が課題となる搬送工程では、装置の動きを踏まえたレイアウト構想力が求められます。TO WARDS-FUTUREは、専用コンベアからAGV/AMR/AGF、多軸ローダまで柔軟に選定し、搬送ルートや配置をゼロから設計します。
レイアウト条件に応じて、搬送手段そのものを柔軟に設計できるため、現場に適したライン構成を、既製品にとらわれずに実現します。
段替えや品種切替が前提の組立工程では、装置の柔軟性は必須。名古屋精工は、ロボットハンドを含むフルオーダー設計により、多品種・小ロットに対応した段替えレスのシステムの製造実績が豊富。
製品変更や他社機の改造にも柔軟に対応できる体制で、変化が前提の現場でも、将来を見据えた組立自動化を構築します。