工場の完成検査の自動化導入で悩んでいる方向けに、自動化のメリットや課題、導入時の比較ポイントなど、知っておきたい情報を徹底解説。また、実際の導入事例を参考に、導入効果についても詳しく紹介します。
完成検査は、製品が出荷される直前に行われる最終的な品質確認の工程です。そのため、製品が設計通りに正しく作られているか、必要な性能や安全性を満たしているかを確認する重要な役割を担うことになります。
完成検査の主な目的は、不良品の市場流出を未然に防ぎ、消費者に対して安心・安全な製品を届けることです。そのため、完成検査を徹底することで、品質クレームやリコールといったリスクを低減でき、信頼性の高いブランドイメージを維持・向上させることが可能になります。
目視検査による検査精度は、作業者の熟練度や感覚に委ねられることが多く、最終製品の品質に影響を及ぼすことがありました。しかし、自動化により、検査結果のばらつきを最小限に抑えることが可能となるため、品質の安定化を図ることができます。
また、高速かつ連続的に製品を検査することができ、生産ライン全体のスループット向上や納期短縮にもつながります。さらに、検査要員を削減できるため、人材の有効活用や人手不足の解消などにも寄与することが可能です。
国がAI活用を推進する背景として、少子高齢化や労働力不足、製造業の競争力強化があげられます。生産年齢人口の減少傾向から、熟練した完成検査員の確保や技術継承は困難になっており、検査品質や効率性に影響を及ぼすおそれがあります。
AIによる自動化は、ヒューマンエラーのリスクを低減し、品質管理の高度化に寄与するため、国の検査の透明性と信頼性の高めるための方策とも合致。これにより、将来的な技術進展、競争力強化、ひいては日本製品のブランド価値の維持・強化を実現することが期待できます。
国土交通省が推進する「完成検査の自動化ガイドライン」では、AIなどを活用して完成検査を自動化する際の基本的な考え方や推奨される要件が示されています。
具体例の1つは、AIを活用した自動化検査機器の開発・導入支援による完成検査の合理化。そのほか、プレキャストの活用やBIM/CIMの活用による施工の効率化や品質向上、データ連携のオートメーション化、データ共有基盤の整備など、様々な施策が展開されています。
完成検査におけるAI活用で期待される効果には、まず検査精度の向上があげられます。AIを活用することで、ベテランの完成検査員と同等以上の高い精度で検査を実施することができ、製品品質のより一層の向上や信頼性の向上が期待できます。
自動化により検査工程の効率化も図られるため、検査時間短縮や省人化など、生産効率の改善も図ることができます。そのほか、人手不足の解消など、多方面での効果が期待されています。
目視による完成検査は、検査員の熟練度や集中力に左右されることが多く、長時間の作業や大量の製品の連続検査の現場では、注意力散漫や疲労などにより、微細なキズや色むら、形状のわずかな異常などは見逃されるリスクがありました。
AIや高精度画像処理技術を用いた自動検査システムでは、人の目では気づきにくいようなわずかな異常や欠陥を高確率で検出することができ、検査の精度が向上します。ごくわずかな違いも認識し、リアルタイムで自動的に不良品を識別することが可能です。
目視による完成検査では、検査員の習熟度、休憩や交代などの人為的要因により、検査のスピードや稼働時間に制約がありました。また、精度の高い検査を目指せば目指すほど、時間がかかる傾向があります。
自動化された検査システムでは、画像処理センサーやAIアルゴリズムにより、瞬時に製品の状態を解析することができ、検査時間の大幅な短縮が可能です。また、人では不可能な24時間連続稼働により、作業効率を向上させることができます。
人の手による完成検査の記録は、紙に手書きしたり、Excelに手入力したりすることにより、記録漏れや転記ミスとともにデータの検索や活用に難がありました。また、不良の原因追跡や過去の検査履歴の参照にも手間や時間がかかります。
自動化を導入すれば、検査結果は、リアルタイムで自動的にデジタルデータ化してデータベースに蓄積することが可能。これにより、品質管理の高度化やトレーサビリティの強化を図ることができ、製品品質の安定と信頼性向上につながります。
完成検査の自動化導入にあたっては、製品や工程に適した技術選定が重要です。
今自動化したい工程には、その工程ならではの課題があるはずです。だからこそ、各工程の悩みに応じた実績やノウハウを持つ企業に相談することが、現場の負担を減らし、効率的に稼働できる自動化への近道になります。
当サイトでは、構想段階で不安の多い工程でも、自社の状況に置き換えやすい事例を提示できる、工程ごとの強みと対応力を持つ3社をピックアップしています。ぜひ参考にしてみてください。
完成検査の自動化導入には、高解像度カメラ、専用センサー、AI画像処理システム、ソフトウェアなど、高精度な検査装置の購入費用がかかります。また、ラインレイアウトに変更を加える場合には、その費用も必要です。
AIや機械学習を活用した自動化システムでは、データの収集、学習モデルの開発、テスト運用などが必要です。また、AIアルゴリズムのトレーニングには膨大なデータと時間がかかり、そのための専門的な知識を持つ人材の確保もコストに影響することになります。
多品種少量生産における完成検査自動化では、製品ごとに検査項目が異なる場合、自動化システムが柔軟に対応できるように設計する必要があり、個別の製品に合わせたカスタマイズが必要となります。
各製品の仕様や品質基準が異なることが一般的であり、検査項目やチェックのポイントも製品ごとに異なることも。そのため、頻繁な製品切り替えに検査内容や設定を自動で認識・調整させるための技術力が求められます。
高精度な完成検査自動化装置の導入・運用には、高度な技術を効果的に運用できる専門的な知識を持つ技術者が必要となります。中でも、AI・機械学習の理解と運用においては、モデルの選定、学習データの準備、モデルのチューニング、トレーニングの過程など、さまざまな技術的な知識が必要です。
技術者育成のためには、専門的な教育とトレーニングが不可欠であり、時間もコストもかかります。また、社内育成プログラムの強化や外部との連携なども求められます。
製造現場では、完成品を正確に検査することが求められる一方で、生産効率を落とさないことも重要です。検査精度ばかりを重視すると検査時間が長くなり、ライン全体の流れが滞って生産性が低下することもあります。
そのため、完成検査自動化を導入する際には、検査精度と速度の両方が製品の品質要件および生産計画に合致しているか、事前に比較検討・評価しておくことが大切です。具体的な比較ポイントには、生産ラインとタクトタイムとの整合性、検出対象と許容精度の明確化などがあります。
製造現場では、新製品投入・モデルチェンジ・設計変更による検査項目・条件の変更調整、小ロット・多品種生産による頻繁な段取り替えなどが日常的に発生。そのため、これらの変更に対して、検査システムがいかに迅速かつ容易に対応できるかという柔軟性が求められます。
製造業においては、市場のニーズや製品のライフサイクル短縮により、多品種化や短納期化も進んでいます。そのため、導入前に、製品や工程変更への対応実績や設定変更のしやすさなどを含めた柔軟性の検証が必要です。
完成検査自動化システムは、導入すれば終わりではなく、安定して稼働し続けることが求められます。そのため、検査精度やスピードとともに、ベンダーの保守・サポート体制が充実しているか否かは、導入時の重要な比較ポイントです。
トラブル時の対応スピードや体制や定期メンテナンスの提供、技術サポートと教育支援、交換部品の供給体制と納期など、事前にサポート体制の充実を確認してから導入することが大切です。

形状が安定しないレーザー溶接の形状判定には時間や人員がかかり、判定も検査員の経験や勘に依存するところがありました。
導入後は、レーザー溶接の形状や大きさを画像で判定できるように。検査箇所が60か所あるため、1つのカメラで2か所の検査を実施。カメラを移動しながら撮像することにより、サイクルタイムの短縮を実現することができました。
外形、面積、近似円など、多くの条件を組み合わせた検査が行えるだけでなく、PCをベースとした画像処理ソフトを用いることで高精度かつ安定した検出が可能に。さらに、目視検査員1名を完全に削減することができたほか、検査の数値化により、製品の安定性も向上しました。
参照元:サカエ(https://engineer-knowledge.sakae-jp.com/welding-inspection-equipment-example)
この事例は、サカエによる自動化対応の一例です。会社の自動化の特徴や詳細はこちらからご確認ください。

増産に対応するため、目視検査員の人員確保に苦慮していたほか、従来の画像検査では20%の見逃し、30%の過検出が発生していました。また、自社で検査工程自動化のメンテナンスができるような地検の蓄積や体制の確保が課題でした。
安価にスモールスタートできる製品であったため、導入できるかどうかを判別するための有償トライアルを実施。オフラインで撮影したさまざまな角度からの画像(良品、不良品それぞれ一定数)と位置補正データを記載したサンプルを渡し、検査モデルの構築を行ったところ、98%という高い精度をマークし、導入を決定しました。
導入効果として、目視検査員が不要となり、人的リソースの最適化を実現。また、見逃し率0%、過検出率2%と高精度の検査をインラインで実現することができ、別ラインへの横展開も決定しています。
参照元:CEC(https://vrr.cec-ltd.co.jp/case/wiseimaging_toyamakobayashi/)

医薬品製造に関するガイドライン(GMP)では、医薬品の異種混入を防ぐため、包装する薬を切り替える際に包装ラインの工程をすべてチェックする、ラインクリアランスの徹底が定められています。この工程は、時間のロスも大きく、何よりも人の目だけではどうしても限界があります。そこで、ラインクリアランスの自動化を導入しました。
検査には360度カメラとレーザーセンサーを使用し、設置が困難なところには、部分的な機械の空運転モードを組み合わせてラインの隅々をモニター。すべての検査結果は1台のコンピュータに集約し、画像データはAIで解析しています。
その結果、残留物の確認は、自動チェックによりわずか1分程度で完了。また、効率化できた分、スタッフは新たな改善活動や教育に時間を使うことができるようになりました。
参照元:武田薬品工業(https://www.240.takeda.com/spotlight/04/)
目視による完成検査では、判断にばらつきが生じやすいため、見落としやミスのリスクがありますが、自動化導入により、客観的で一貫した基準での高精度・迅速・連続した検査が可能に。また、品質の安定化とともに、検査時間の短縮や人員削減により生産効率も期待でき、全体のコスト削減にもつながります。さらに、データの蓄積・活用により、製造工程の改善を実現することも可能です。
寸法検査の自動化を相談するなら、製品と工程に合わせて会社を選ぶのがおすすめです。
このサイトでは、工程別におすすめの企業を紹介しているので、以下リンク先の情報もぜひ参考にしてください。
工場ラインの自動化では、工程ごとに「属人化」「スペース制約」「精度の安定」など異なる悩みがあります。設計・提案だけでなく、現場ヒアリングから設置・保全・アップデートまで一貫対応する企業こそ、課題を根本から解決できます。
ここでは、そうした対応力を備えた東海エリアの3社を工程別にピックアップしています。
不良品の検出には、工程ごとの流し方・止め方・向きといった動きの把握が不可欠。サカエは、検査を含む多様な工程で150社・1500台超※の自動化設備導入を支援してきた知見から、成立条件を踏まえた提案が可能です。
特定メーカーに縛られない提案型商社として、機器やソフトを柔軟に組み合わせ、属人化しがちな検査工程も、再現性ある仕組みとして構想・テスト・設置まで一貫対応します。
スペース制約が課題となる搬送工程では、装置の動きを踏まえたレイアウト構想力が求められます。TO WARDS-FUTUREは、専用コンベアからAGV/AMR/AGF、多軸ローダまで柔軟に選定し、搬送ルートや配置をゼロから設計します。
レイアウト条件に応じて、搬送手段そのものを柔軟に設計できるため、現場に適したライン構成を、既製品にとらわれずに実現します。
段替えや品種切替が前提の組立工程では、装置の柔軟性は必須。名古屋精工は、ロボットハンドを含むフルオーダー設計により、多品種・小ロットに対応した段替えレスのシステムの製造実績が豊富。
製品変更や他社機の改造にも柔軟に対応できる体制で、変化が前提の現場でも、将来を見据えた組立自動化を構築します。